温泉を人々が利用するようになったのはいつ頃からでしょうか。有史以前から当然温泉は涌いていたはずです。実際、温泉の近くで石器時代の石器や土器が見つかることもあるそうですので、かなり昔から利用されていたことは確かなようです。そして、時代が下って歴代天皇の温泉への行幸や平安貴族たちの温泉入浴の記録も残っていますが、庶民には馴染みのないものでした。しかし、いつしか温泉も湯治として広く一般的となり、「弘法大師の発見した湯」や「戦国武将の湯治の湯」等の伝説が生まれたのです。そして、江戸時代になり寺社詣でなどによる「旅」が一般的となり、温泉もより栄えるようになっていきます。
 明治以降、それまでの自然と涌き出ている温泉のみならず、機械による揚湯により温泉地が飛躍的に増加し、昭和の高度成長以降巨大な旅館ができるようになってより身近なものとなっていきました。ふるさと創生で全国に温泉ができる様になりますと、日帰り温泉の普及もあり、より身近な温泉が増えていきました。バブル崩壊後も、温泉は多くの方が利用していましたが、経済低迷で温泉が少なくなりました。
 コロナ後、外国からの観光客が日本らしさを求めて、温泉を利用しています。温泉のあり方が大きく変わりつつある中、日本だけでなく、世界からも愛される温泉となっていきます。

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