温泉〜かつての温泉問題

温泉とは。
古来、傷の治りがいいとか、疲れが取れる、温かい湯が「温泉」。
戦さの時代、平時は農作業に従事している人が、いざ戦さとなると武器を持って戦う。
刀から槍、鉄砲とその役割が増えていきます。
そして、その「兵士」の回復は、国力に直結していきます。
弘法大師の湯と謂れのある温泉は、「回復力」。
信玄の隠し湯などは、「治癒力」。
江戸中期となりますと、「お伊勢参り」が盛んとなり、庶民「旅」が多くなります。
必然、宿泊と入浴が旅では必要となります。
明治以降は、「旅」が普通となり、全国で温泉開発が進み、戦後は大型化が進みました。
ふるさと創生で、全国の自治体で温泉開発が盛んとなり、行政が直接関与する温泉が増えました。
高齢者人口が増え、病院に通う方が多くなり、医療費負担が自治体予算で大きな比率を占めるようになっていきました。
各地で日帰り温泉を作り、病院に通う方を、温泉に入湯料を支払って頂いて、利用していただくことが増えました。
平成8年に、東北地方でレジオネラ属菌が問題となり、平成12年には、関東、中部地方の温泉施設でレジオネラ属菌の集団感染が発生。
その後、全国でレジオネラ属菌問題が噴出しました。
平成16年には、温泉偽装問題が全国で発覚。
温泉に対する信頼が、揺るぎました。
この頃、「温泉評論家」と称する、温泉巡りの専門家が、自称「温泉専門家」として間違った温泉現場を発信しました。
循環方式を採用している温泉を、「温泉ではない」などと言ったり、「掛け流しだけが温泉」と言ったり。
温泉の利用形態は様々であり、温度と量が十分で、源泉からそのまま浴槽に流れている温泉は、数が少ない現状を知らない「専門家」が増えました。
「入浴する」専門家が、いつしか「温泉専門家」を称していました。
平成8年のレジオネラ属菌問題から、私は「温泉コンサルタント」真の「温泉専門家」としてあらゆるメディアに出演し、全国で講演を行いました。
温泉関連法令改正にも関与し、現在に至る温泉の姿を作りました。

温泉は、それぞれの「顔」を持っています。
それは、泉質であり、湯船であり、温泉施設です。
それぞれの温泉を、それぞれの楽しみ方で過ごすのが、温泉です。
温泉での一時を、楽しんでいただけたらと思います。

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